エチオピア

/ 情報誌『デス・ウオッチング』91.9より


 
 エチオピアはアフリカ大陸にある、紅海の南に面した国で、国民は黒人の原住民と侵 入者の白人の混血である。宗教はキリスト教が50%、イスラム教が30%である。葬儀は キリスト教とセミ族の伝統、そして土着の風習がミックスされている。
 まず人が病気になると、家族や友人は出来るかぎりお見舞に行く。そして臨終になる と遠くの親戚を呼び、最期の言葉を聞くようにいう。
 人が死ぬと目と口を閉ざし、体をまっすぐに伸ばす。彼が俗人なら両手を腹の上に組 み、親指を白糸で結び合わせる。聖職者ならば胸の上に両手をクロスさせる。死の事実 を知った家族や友人は、大声で泣き始め、遺体を隠したカーテンのなかでは、黙々と埋 葬の準備が始められる。川からポットにきれいな水を汲んできて、体を清める。
 死化粧は、足の親指同志と手の親指同志を結ぶことから始まる。そのあと、キャラコ で遺体を包む。高貴な人は赤か青のサテンを用いる。帷子は死の前には用意される。こ の衣は新品でなければならない。遺体を包んだ後、木製の棺の中に納める。棺は教会に 用意されており、夜間に家に運ばれる。遺体を納棺したあとに、カラフルな布をかける。
 近くの長老が招待され、客たちの中の若者は一組となって、遠くまで死を知らせに行 く。その範囲は葬儀に参列してその日に戻れる距離である。夜間には、近くの丘に登り、 死者の名前と葬儀の時間と場所、そして埋葬を手伝って欲しいことを告げる。招かれた 人たちは、血縁の濃い者ほど泣かなければならない。教会からは2人の司祭と3人の助 手が出席する。
 参列者は死者の家に近づき、そして悲しみの声をあげる。夜を徹して、村の司祭は棺 台の回りに集まり死者のために祈る。それにはドラムや様々な楽器がこの儀式に参加す る。7歳以下の子は、儀式に参加できない。7歳以上ならば儀式に参加できる。洗礼を 受けずに死んだ子供は教会の外の特別の庭に埋葬され、自殺者は儀式なしに埋葬される。
 

   教会への葬列


 葬儀は朝の九時に始まる。4人の男は棺に入った遺体を運び、ドアを潜り抜けたとき に、水の入ったポットを割る。家の前のゲートでいったん棺を置き、行列の準備をする。 先頭には十字架を携えた助祭が、次に香炉を持つ司祭が続く。その後棺とそれを担ぐ人。 次に遺族が故人の持ち物であるライフル、盾、槍を持ち、その後に友人たちが続く。そ して女性が同じような順序で続く。
 しばらく進んだあと、棺を下に置き、女性たちが哀悼歌を歌い始める。会葬者は彼女 の回りを取り巻き、彼女の歌に続いて、その歌詞を繰り返して歌い始める。このように して、彼らはリズムにのって行進する。人々は故人の衣装や道具を手に持ちながら踊る ように進む。この間、悲しみのために泣いたりひっかいたりするので、司祭はときどき それを制止させる。そして祈りをし、そのあとに新しい人々が交代に棺を担ぐ。教会に 到着するまでの間に俗人は7回、司祭は24回停止する。
 

   にぎやかな埋葬


 教会で牛を生贄にする場合、葬列は牛が殺されるまで待っている。そのあと棺は、血 のまかれた場所を横切って中庭に至る。棺の到着はミサの始まりを意味する。儀式の後、 棺は教会の小部屋に運ばれる。次に長い綱で遺体が挙げられ、聖所に運ばれる。そして 祈りの後、そのうえに衣装が掛けられ墓へと運ばれるのである。
 墓穴は、2人の人間が立って両手で遺体を受け取るに充分な深さに掘られる。墓は長 方形で東西に向けて伸びている。遺体が到着する前に、司祭はその場所を祝福して香を かける。遺体を埋葬するために綱を背中とふくらはぎに掛け、段々と降ろしたあと、墓 にいる男が綱を取り除き、頭を東向きにする。その間、弔砲が射たれ鈴が鳴らされる。そ して人が墓穴から上がったあと、平石で閉ざされる。
 埋葬が終わると司祭は静かにさせ、「経帷子の書」を開き、大地に死者を受け取るよう に頼む部分を読む。このあと、会葬者は教会の近くの集会所に集まり、ここで再び、死 者を賛える哀歌が歌われる。
 真昼になると長老が儀式の終わりを告げ、司祭は「経帷子の書」からの言葉を読み上 げ、集まっている人を祝福する。最後に「アーメン」と言う言葉と共に、生贄になった 牛肉が会葬者全員にふるまわれる。そのあと、遺族は会葬たちから慰めの言葉を受ける。 「神が力をお与え下さいますように」、すると遺族はそれに「悪に誘惑されませんように」 と答えるのである。
 式のあと、1人1人会葬者は去っていき、最後に遺族だけが残される。そして初めに 女性が、続いて距離を置いて男性が村へ戻っていく。



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