ナバホ族

/ 情報誌『デス・ウオッチング』91.1より


 
 アメリカ南西部に住むナバホ族は人口約16万人、アメリカ最大の人口を持つインディ アンである。ナバホ族は不死の信仰がなく、死後ははかなくぼんやりしている。ナバホ 族にとって、死は良いものすべての終わりを意味する。そのため出来るだけ死を遅らせ たいと考えている。幽霊は死の世界の魔で、この世界へ戻って災いをもたらすため、大 変恐れられている。死の脅威を祓うため、儀式は死を遠ざけるために行なわれる。病人 はまず、彼のテントからすぐ近くの避難所に運ばれる。そのあと彼の最も良い衣類と宝 石類で身に付け、家族と呪術師は死が確実となるまで一緒にいる。死ぬと死の悪い影響 から避けるため1、2人を除いて全員が立ち去る。死が訪れたとき、悲しみが深くとも、 幽霊を呼び寄せないように用心する。人々はテントに引っ込み、彼らに不幸がこないよ う、目撃したり埋葬の手伝いを望まない。親族が、死者を洗い、死者に着物を着せる。
 

   死者の埋葬


 ナバホ族は可能な限り速く葬る。死の翌日、遺体を運ぶ2人の男が、遺体のある テントに現われる。死者の副葬品(鞍、毛布、道具、武器)も同時に動かす。それを故人の馬に積み、そのあとテントの東の入口を閉じて、北側に新しい入口を切って作る。ここから 遺体を出すのである。テントから墓場までの道に灰をまき、テントが捨てられるなら、灰 は捨てられたテントと新しいキャンプの間にもまかれる。幽霊が恐れる火かき棒だけが 保存される。ナバホ族は儀式のために紐を縛って結び目を作る。この1つが、死の結び目 である。埋葬用の遺体をおおう毛布を持つためのロープ結びである。死結びは、決して ほどかない。もし解く必要があるときには、ナイフで切り、使ったナイフは捨てられる。
 死者の墓は死者のテントからの歩いて行ける距離の範囲内に穴を堀る。少数が参加す る葬列は、静かで、そして悲しみに沈んでいる。死の汚れを避けるため衣類は洗濯され、 洗濯出来ない衣類は捨てられる。遺族は髪は伸ばしたまま全身に灰をつけ、顔には喪の 化粧を行なう。哀悼者の一人が馬を墓に連れていき、その後を肩の上に乗せた遺体が続 く。時には遺体を馬に乗せ、両側からささえて運ぶこともあった。葬式では厳しい沈黙 を保つ。ナバホ族はいくつかの危機を儀式で通過するが、最少限度の葬儀しかしない。埋 葬は副葬品とともに埋葬 される。最近まで主人の馬は射殺され、主人の墓穴のそばに置 かれた。死者を埋葬した後、使用したシャベルなど道具が壊され、そして全ての足跡が 抹消された。自宅に戻る際にはスキップして、悪い 霊が追ってこないようにする。また入念に水浴をし、そのあと飲み食いをする。しかしながら埋葬に参加したメンバーは別れて食べなければならないし、何も残すことはできない。
 

   埋葬後の活動


 埋葬後に最も重要なのは清めである。喪の4日目、および次の4日間に悪い夢を見た ならば、予防のための儀礼、ナバホ族の神を呼び「祝福の道」を行なう。最後の 4日目の終わりには、歌手が雇われ家族を病気から逸すための歌が歌われる。死の後の1月以内にも、歌手が雇われ、今度は全ての財産と馬と羊と宝石類を清めるために歌われる。こうして相続人は、 幽霊から解放される。
 儀式の多くは、死から利益を得るか、生活を守るために行なわれ、死者に力や祝福を 与えるものではない。遺産は誰かへの愛情や、死後の幸福のために使われることがない。 ナバホ族では、けちは、恐ろしい報復が持っていると教えている。故人が大切にした物 は、その霊と共に大切にしなければならない。



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