古代ユダヤ
時の終りに蘇り、永遠の命を得る
ユダヤ教の聖典である「旧約聖書」は、神、天使、奇跡、予言など超自然の事柄の宝 庫であるが、死後の世界の記載は少ない。予言の書によれば、「人は死後眠りにつくが、 時の終りに蘇り、善人は永遠の生命を受け、悪人は常に恥と苦しみを受ける」と記録さ れている。この死後観はキリスト教にも引き継がれていった。しかし、ユダヤ人の底流 には、セム族の習俗が残っている。
「創世記」によると、人は罪を犯したが故にエデンの園を追放され、額に汗して働き、 ついには塵に帰る運命をもつようになった。死は罰であり、罪のあがないであった。命 は神が与え、死のときも神の定めによった。
人は最期の息を引き取るとき、シェキナー(神の臨在)のビジョンを見る。それから ネフェシェ(生命、息)が身体を離れる。その状態を聖書は「銀の糸は切れ、黄金のラ ンプは割れ、水がめは泉で砕け、滑車は井戸で壊れる。その時、塵はもとの土に戻り、生 命はそれを下さった神に戻る」(伝道の書)と記述している。魂は3日間、死体のある墓 をうろつき、やがて離れていく。
忌中は7日が基準ともっている
古代においては祖先崇拝が行なわれ、死者は祖先たちの墓に埋葬され、そして死者の 魂は祖先のもとに帰り一体となった。また死者はシュオル(黄泉の国)で、薄暗い影の ような幽霊として存在していた。律法により、また熱い気候のため遺体は布に包まれ、24 時間以内に埋葬された。火葬は罪人に対する刑罰として行なわれ、ヒンノムの谷には、罪 人と動物の死体を焼き尽くす炎が絶えなかったと記録されている。遺体は友人たちによっ て担がれ、詩編の句を唱えながら墓に運ばれた。かっては、泣き女、楽士が葬儀には付 き物だった。忌中は7日間が基準で、昔は荒布を体に巻いて断食し、胸を叩いたり、灰 のなかに座ったり、灰をかぶったりして、悲しみを表現した。
「ヨセフは父の死の為に7日間、葬儀を行なった」(創世記50、10)現在では黒の喪服 を肴、家に留まって「ヨブの書」を読み、弔いの客を迎えて忌中の期間を過ごすのであ る。また1年間は服喪期間として、音楽や娯楽を遠ざける風習がある。(吉野)