バリ島
/ 情報誌『デス・ウオッチング』89.1より
海は悪魔の住む世界
バリ島はインドネシア群島の1つで、ジャワ島の東にある。宇宙の中心は最も高い火山
グヌン・アグンである。山は神聖で神々の座とされ、その反対が悪魔の住む低い海であ
る。海は悪魔の巣であり、太陽が沈む夜の世界である。
島の人々は、この天上界と下界の中間に住み、天上界と下界のそれぞれに違ったお供
えをする。天上界の神々に捧げる動物は豚や鶏、水牛やアヒルである。
魂の3つの段階
バリ島の住民は死者を、災いをもたらすものと恐れ、そのために惜し気もなく供物を
捧げている。死者の魂には3つの段階がある。
一、火葬されていない遺体で、その魂は地上をさ迷っている。
二、火葬された死者で、上部世界に昇天している。
三、解脱し祖霊となった魂である。
金のかかる火葬の儀礼
一般の人々の遺体は、葬儀のあと、墓地に埋葬して、おりをみて火葬の儀式をする。し
かし司祭や貴族の金持ちの遺体は、土葬せず、豪華な火葬が執り行われる。そのため、何
か月にもわたる準備が必要となる。木棺の中に遺体を入れ、火葬の準備が整うまで遺体
が乾燥するのに任せておくのである。
3日間統く葬儀
バリ島の火葬は、死者が地上にさ迷っている霊から、浄化され昇天するための祭りで
ある。火葬は村を上げて行なう。貧しい家では火葬が出来ないため、村の火葬の祭りの
ときに便乗する。かっては、遺体を掘り起こして火葬に参加したが、現在では人形(ァ
デガン)を墓にもっていき、故人の霊をアデガンに移して火葬するのである。火葬の祭
りは、3日間にわたって行なわれる。1日目はミイラになった遺体を聖水で洗う。2日
目は村人が供物をもって集り、死者のこどもや孫たちが村中を行列して歩く。3日目に
いよいよ本番の火葬に入る。儀式の場所は村はずれの広場に準備され、そこまで遺体を
納めた何層もある巨大なみこしで運んでいく。行列はどらによって先導され、聖水、香
炉、供物、犠牲の動物像、薪を担いだ人が続き、みこしは数10人の裸の男子によって担
がれる。火葬の台は、高さ1メートルほどの櫓で、台の上には、木製の黒い牛が空を仰い
で立っている。
聖なる牛に乗って昇天する
行列が式場に到着すると、みこしが台のうえに置かれ、縁者によって白布に包まれた
遺体が取り出される。そのあと僧侶を先頭に、悪霊の槍、香炉をもった人のあとにつづ
いて火葬台の回りを回り、台の上にある黒い牛のなかに遺体を納める。それから遺族と
最後の別れをしたあと、黒牛の回りの薪に点火される。夜になって火が収まったあと、死
者の灰は、2個のやしの実のなかに入れられ、1つは川に、1つは海に運び流される。
資料『バリ島の研究』東海大学、『ミイラ文化誌』深作光貞
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